烏骨鶏の飼育について②

ニワトリ
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ペローシスという病気になったクロ。

以前、烏骨鶏を人工孵化した時、足の奇形を抱えて産まれた一羽のヒナがいた。名前は「クロ」。クロが成長するにつれて足の異変に気づき、調べたらペローシスに良くあてはまる。そのうちクロが体調を壊した。消化不良と低体温状態に陥っていて元気がない。小さな段ボールにクロを、湯たんぽもいれて動物病院へと急いだ。しかし、烏骨鶏のヒナなど診れないと受付の時点で断られてしまった。クロの姿一目も見ずに突き放されてしまいショックだった。ニワトリはペットではなく家畜として飼われているため、何かあった時は動物病院で簡単にみてもらえない事実も知った。トリの専門の先生がいる動物病院を紹介してもらい、残された希望を持ち車を走らせた。クロの体調は無事戻ったが、気になっていた足について聞くと、クロはやはり「ペローシス」という病気。ペローシスとは脚が自然の状態で開脚してしまう病気。獣医さんから「普通に歩けるようになるのは難しいかな。他にも隠された合併症があるかもしれない、短命かもしれない」と告げられた。クロは自立して歩く事が困難で、家の中で介護する形となった。体は大きくなれないし、自由に動きまわれない、まるで寝たきり。餌や水の場所まで移動もできないので餌と水飲みも見守りながら。お腹が床についてしまうので体がすぐにおしっこ、うんちだらけになるので毎日体を洗う。テーピング交換、寝床の掃除などお世話する日々。「外の見えない景色でこんな風に過ごすのはどうなんだろう。」「この子の人生は幸せ?生きることの意味って何?」クロの今後の人生について夫と何度も話し合いをした。ニワトリ一羽といっても我が家にとっては大切な家族だから。

クロを守るきょうこ~家族一団となって応援する

テーピングの効果もあって少しだけ歩けるようになったクロ。上手に歩けなくても緑ある外に仲間と自由にいる方がよっぽど幸せだろう。思い切って外の小屋で育てることに決めた。ただ、他の大きな体のニワトリにいじめられてしまうのでは?という不安があった。そんな時、クロを守ってくれたのが烏骨鶏の長女のきょうこ。通常ニワトリは止まり木がベッドのようなもので、夜は高い所で、止まり木で眠る。クロは他のニワトリのように止まり木にいけないので一人寂しく小屋の端っこのところにいる。あれ??きょうこが止まり木にいない。土の上でクロのそばで見守るようにいる。このきょうこの行動にはとても驚いた。ニワトリ小屋から庭への出入りの際にも、他の群れから置いていかれないようにクロを気にかけている。きょうこはまるでボディーガードのように。クロはきょうこの温かい配慮で他のニワトリからいじめられることなく過ごせた。さらに夫のクロへの優しさにも感謝している。小屋の中でクロが少しでも快適に過ごせるよう、色々工夫。水と餌箱へ移動できるようにクロ専用スロープ。低い止まり木の用意。外で歩く練習、リハビリも少しずつ行った。私は定期的に動物病院に連れていった。このように家族一団となってクロを応援した。クロの家での状況を獣医さんに伝えたところ、「この子は幸せな子だね~。」と言ってくれた。なんだかこの一言がとっても嬉しかったし、救われた。

これが止まり木、この木の上に止まって夜は眠って過ごす

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いのちあるものを育てる責任、クロの生きる力

クロのペローシスという病気は生後早ければ早い程、テーピングでの治療をすることで予後や変わってくる。早い段階で気づくことができればもっと違った人生になったのではと悔んだ。そしてクロのこの先の結末なのだが、、、、野良猫に命を奪われてしまうという最期となった。突如ニワトリ小屋に黒猫が侵入、他のニワトリは逃げれたが、足の悪いクロは逃げれきれなかった。クロの最期がこんな形になってしまい、家族みんなが多大なショックであった。私はこの時ちょうど第2子を出産したばかりで実家でこの報告を受けたが、とにかく涙が止まらなかった。夢にクロが出てきてうなされたくらいだ。この時、3歳の息子はというと、「お父さん、もっと強いニワトリを飼おう!」なんていったのだから。3歳の子供には生死のことは当然まだわからない。猫に負けない強いニワトリであればと考えたのかな。私達は右も左もわからないままニワトリとの暮らしをスタート、独学で勉強しながら試行錯誤で頑張ってきたのだが。生き物を飼育することは思っていた以上に責任がある。それでも我が家はみんなニワトリが大好きだ。ニワトリと暮らす日々は大変なことの方が多いがそれでいいのだ。それ以上に我が家に幸せを運んでくれているからね。

我が家でヒナが誕生すると、ヒナをまず全身チェックしてどこも悪いとこないね、大丈夫でよかった~とそこで初めて安心する。人間の赤ちゃんもそうだけど、「一つのいのちが産まれ五体満足であることは、当たり前のことではなく本当に奇跡で素晴らしいこと。」「クロ、沢山の気づきをくれてありがとう。」あなたから教えてもらったことは我が家のニワトリ飼育の根底にある大切な部分をつくってくれたと思うよ。

左下のニワトリさんがクロです。↓ みんなと一緒に庭で過ごす様子。クロの近くにいるのが仲良しのきょうこ。

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