畑でお米(萌えみのり)を育ててみた① ―陸稲、水田品種の挑戦記– Growing Rice in the Field (Moe-Minori) Vol.1 – Upland & Paddy Rice Experiment Journal

草花

 十勝の畑で、水田用の品種「萌えみのり」を育てました。
 このお米は本来、水を張った田んぼで栽培される水稲品種です。
 しかし、うちには田んぼがありません。
 そこで、「畑で水田種をどこまで育てられるか」を試してみることにしました。最近十勝では同じような試みが増えてきています。みんなでやるとより良い!


畑で稲を育てて3年目の挑戦

実は、稲づくりは今年で3年目です。

  • 1年目は、雑草に呑まれてどこに稲があるのかわからなくなりました。
  • 2年目は、少し大きくなったところをニワトリに根こそぎ食べられるという悲劇。
  • そして迎えた3年目。ようやく「稲らしい稲」を育てることができました。

「畑でお米を育てる」という無謀にも思える挑戦ですが、毎年少しずつ課題を修正してきた結果、ようやく実りにたどり着いた年でした。


品種選定は農業試験場の情報から

まず、どの品種が北海道の気候に合うかを調べました。
参考にしたのは、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構の各種ホームページ。

北海道の研究センターの育成しているものが良かったのですが、色々と問い合わせてみるも紹介している品種を入手することができず。地元のJAにも連絡しましたが20㎏単位でしか入手できなさそうなので、やめました。そこで、東北農業研究センターのHPを見つけ、ようやくg単位で入手できる品種を見つけました。

寒冷地にも強く、品質・食味に定評のある「萌えみのり」。君に決めた!

ちなみに、「萌えみのり」は、もともと水田、特に東北圏の “直播(ちょくはん)栽培” に適した品種として育成されたものです。耐倒伏性が強く、食味も良好とされており、農研機構の資料には「良食味で、耐倒伏性が強く、規模拡大や複合経営に有利な省力的栽培法である直播栽培において多収である」と記されています。農林水産省

私の庭/畑の環境は決して水田条件ではなく、むしろ水を大量に張ることも難しい、自給自足・循環型のスローライフの場です。そこで、「水田種を畑でどう育てられるか」というチャレンジとしてこの品種を選びました。農業試験場のデータを根拠に「このイネならもしかして畑でも育つ可能性がある」と思ったわけです。


畑の条件と肥料

今回育てる畑は、基本的に草マルチと米ぬかしか入れていません。
化学肥料や堆肥は使わず、草をそのまま敷いて土を守るスタイルです。
水を頻繁にやることもできないので、半ば「自然栽培」に近い条件です。それでも、3年の積み重ねで土地が少しずつ呼吸を取り戻してきました。微生物や虫たちの働きで、やせていた土に少しずつ命が戻りつつあります。

うちはいろいろと条件を変えた場所(畑)があって、それぞれ特色があって面白いです。


種もみの準備 ― 水に浸す

田んぼと同じように、種もみは一度水に浸しました。
浸水させて発芽を促します。温湯処理などはせず、自然のままに近い形で行いましたが、しっかり芽が出てくれました。ただし、これをやったのが屋外で、まだ5月は寒かったので6月にやったのがのちのちの失敗です。来年はハウスの中で出穂の時期を考えてやりましょう。

来年の自分覚えておくように。


栽培方法を3パターンで比較

今回の実験では、3つの方法で育ててみました。

黒ビニールマルチ栽培

黒マルチを敷いた畝に苗を植えたところ、最も生育がよく、草に負けることもありませんでした。
マルチを敷くことで、雑草をほぼ抑えることができました。

ただし、実りの時期はやや遅く、収穫量は少なめになりました。
理由は、マルチに穴を開けた部分しか苗を植えられなかったためです。

それでも、穂の数は多く、株の姿も立派でした。
次回はこの方法をベースに、株間や植え穴の工夫で収量アップを目指すつもりです。

↓植え付け時

↓8月くらい、いい感じだ!とこの時は思っていた

↓収穫時 11月上旬。遅すぎる・・・が収穫する!

バケツ栽培

試しに、バケツでも数株育ててみました。
こちらは一番早く実りました。
バケツなので水持ちがよく、田んぼに近い環境を再現できたのが良かったのかもしれません。
ただし、収量は少なく、観察用といった感じでした。

↓こんな感じが植え付けた時。6月下旬くらいです。

↓10月上旬。いい感じに穂が垂れて収穫です。

直播き(種から)栽培

最後は、畑に直接タネをまく方法です。
芽が出てからの成長はゆっくりで、最も遅く実りました。
苗を育ててから植えたほうが、生育が安定することがわかりました。

↓6月 植え付けからちょっと経った頃。レイズベッドの中の物。

↓10月下旬


収穫とはさ掛け

11月上旬、晴れた日を選び、息子と一緒に収穫してはさ掛けをしました。

穂を握る息子は笑っていて、「これが家でお米を作るということなんだな」と感じた瞬間でした。

風に揺れる稲架(はさ)の列を見ていると、まるで田んぼの風景が小さく再現されたよう。


バケツの稲も、畑の稲も、同じように天日に揺れていました。

これ、畑の面積的には、7m畝3つ、レイズベッド(1.8m×1m)2つ、バケツ1個分です。

たぶん1合分にもならないんじゃないかな。わかんないけど


畑で水田種を育ててわかったこと

  • 黒マルチで雑草を抑え、生育は安定する。ただし植え穴が限られるため、収量は少なくなる
  • 水を保持できる環境では登熟が早い(バケツ栽培)
  • 直播きは発芽が遅く、生育にバラつきが出る?これはちょっとわからない。

畑での水田品種栽培は、やはり簡単ではありません。これらは私の育成下なので他の人には当てはまらないところもあるかと思いますが、次年度への反省として残します。
来年に向けての改善案としては

・根圏への水の供給方法(低側溝・毛細管水分供給など)を工夫する

・畝をより深く・保水層を意図的に作る(畑でも“田んぼもどき”を)

・黒ビニールマルチ+わらマルチ併用で乾燥・温度差を抑える

・種まきor育苗をさらに早め(5月あたり)にチャレンジして成熟期を確保←最重要案件

1年目、2年目と失敗しても、それが土を知り、植物を知る時間になっていました。正直、収穫としては3年目も「失敗」と言えます。受粉は一部でしか進まず、籾の詰まりもまばら。乾燥と夜間の冷え込みが影響したのかもしれません。結果として収穫量は非常に少なく、「見た目は稲、でも中身は未熟米」という穂が多かったです。けれども、芽吹きから実りまで、枯れずに生き抜いた稲の姿には感動がありました。

水を与えずとも、自ら根を深く伸ばして水分を探し、風と日差しの中で立ち続けた。ん~頑張った!!


おわりに

陸稲は、田んぼのない暮らしでも挑戦できるお米です。
水を張れない環境でも、自然と向き合いながら工夫していく面白さがあります。

息子と一緒に稲を刈り、天日に干している時間は、何よりも贅沢な秋のひとときでした。

次は、脱穀・籾すり・精米まで家庭でやってみようと思います。

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