今年の革なめしがようやく落ち着いたので、2025年の記録として書いておきます。
今年扱ったのは、
- 鹿革 8枚
- ヒグマ革 2枚
- 鹿毛皮 3枚
の合計13枚。正直、実際に有害駆除で獲った数よりかなり少ないです。というのも、山に出れば出るほど、なめしに割ける時間が減る。なめしを詰めれば山に行けない。ずっとこのジレンマを抱えて暮らしていて、今年はとくに山にでることに重きを置いていた部分がありましたのでまぁこんなもんかなと思います。
鞣しは毎回条件が違って、同じ手順でも違う顔になるので、今年は枚数は控えめにして、“見えてきたことをちゃんと記録する年” にしたということにします!
鹿革:いつも通りだけど、毎回違う。今年も面白かった
今年の鹿革は植物タンニン鞣しで8枚。全部自分で獲った鹿で、冷凍してダニ駆除してからのスタートです。年齢は0〜2歳くらいの個体が中心で、繊維が素直で扱いやすい反面、ちょっとした条件で仕上がりが変わりやすいという難しさもありました。銀面が荒れてしまったものもあって、本当に自分は反省を生かさない人間だとがっかりしたこともあります。
黒化なめしも数枚やりましたが、細かい仕組みの話はここでは割愛して、詳細は次の記事で。

ただ、「この条件の時はこう反応するな」という手触りが少しずつ分かってきて、来年また試したい課題が増えました。鹿革はやっぱり奥深いです。
今年いちばん印象に残ったのは “ヒグマ革の対比”
今年のヒグマ革は、子熊と親グマの2枚。
この2枚がとにかく対照的で、同じ「ヒグマの皮」でも、まるで別物みたいでした。
子熊の革
軽い。薄い。きめ細かい。しなやか。

皮を剥いでるときは、なんか犬みたいだなーなんて思ったり、子熊かーなんて色々なことを考える。
革は脂が少ないので、触っていても手にまとわりつかない。どこを触っても均一で、なんというか 鹿皮に近いのか、んーこれが子熊かという感じ。
「気持ちいいな…」と何度も触った記憶があります。

長財布の内面とかによい気がするが、使うのが躊躇してしまう。
親グマの革
一気に野性味が増す。まず手に持った瞬間の“重さ”が違う。
繊維も太くて、ところどころゴツゴツしていて、触っているだけで“山の大物”感がある。

加脂を多くしすぎたため、色味が出ていますが「これぞヒグマ」という存在感そのままの革でした。触り比べていて思ったのは、「同じ動物でも、年齢でこんなに違うんだな……」ということ。なめし作業としては難しい部分もあったのですが、技術的な反省より “素材から伝わる印象” のほうが強く残った2枚でした。

鹿毛皮:乾燥を室内管理に変えたら、仕上がりが安定した
正直毛皮は、敷物系にしかならないイメージがありました。あまり踏んだり座ったりするのも嫌で、ここ3年くらいは作っていなかったのですが、毛鉤用のマテリアルとしてご注文を受けたことにより作成を再開した感じです。
今年は 乾燥場所を室内に変えたことで一気に安定しました。
例年は乾燥中に固くなったり、急に波打ったりしていたのですが、今年は室温・湿度が一定の部屋で管理したことで、繊維が締まりすぎず、扱いやすい毛皮に仕上がりました。毛皮は乾燥がすべてと言っても過言ではないので、「これは来年以降も採用だな」と実感した改善ポイントです。いやすべてではないか。他も除肉も、脱脂も重要だ・・・
フライマテリアルとして、ラグマットとして。仕上げや、作成工程に違いはあり、今回はかなり勉強させてもらいました。
バフィング、スチーム、オイル・・・毛皮は毛皮で奥が深い。機会を与えてくれたⅯ様に感謝です。
今年は “残渣利用” をちゃんと形にした年
別記事にも書きましたが、2025年は残渣の再利用にかなり力を入れました。

- 毛 → レンガ・堆肥
- 皮端 → 乾燥して土壌改良材
- 脂 → 抽出して道具の保護、レザーに
- 廃液 → バイオジオフィルターで浄化
- 肉片など → コンポストやニワトリのエサ
バイオジオフィルターはかなり手間でしたが、見た目はただの砂利道なのにしっかり浄化してくれて、
革なめしの排水が自然に戻るところまで仕組み化できたのは大きかったです。
来年は植栽を加えて、なめす枚数増やすために、ため池を大型化する予定です。あとは骨の利用かな。これは考えがあるのでこうご期待。
山に入るか、鞣すか。毎年ぶつかる問題
これはもう、ライフスタイルの話になりますが、鹿を取りに行けば行くほど、鞣しが進まないし、鞣しに集中すれば山に行けない。“どっちもやりたい” という気持ちのまま毎年暮らしていて、こればかりは正解がないなと思っています。
2025年は、数は控えめでしたが、そのぶん学びの多い年でした。
2026年に向けては、
- 黒化革鞣しの安定化
- バイオジオフィルターの強化
- 毛皮のブラッシュアップ
あたりを改善していく予定です。これ、自分で見返す用です。
子熊と親グマの革の対比、鹿毛皮の乾燥改善、残渣利用の仕組み化など、“続けてきたから見えたもの” が多かったように思います。2026年はまた、できる範囲で一枚ずつ丁寧に向き合いながら、自分のペースで作業を続けていくつもりです。以上


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