鹿の角を、植物タンニンと鉄の反応で黒く染めました。
昔から布や紙を黒くする「鉄媒染(てつばいせん)」として知られる方法です。
今回はその仕組みを利用して、角の内部まで自然に黒く仕上げています。
時期ものの角を使う
北海道では、8月下旬から9月末に取れた角がもっとも適してると勝手に思っています。なぜなら、この時期の角は、形がすでに完成していても内部にわずかな空隙があり、タンニンがよく染み込みます。
完全に硬化した角でも染まりますが、この時期ものの角は角袋といった皮膚の中にあるので、表面も清潔で汚れが少ないのが特徴です。
扱いやすく、自然な黒が出ます。ただ、時期が早すぎると角袋のなかの角は脆く、触るとボロボロになってしまいます。逆に10月過ぎると、角は完成して角袋なくなりますしね。
ただ、これは落ちた角ではなく、駆除でしかとれないという背景があります。そこに色々感情が乗りますね。角を得るために駆除するのではなく、駆除したのちの副産物として得られるマテリアル。
↓この角袋の中に角が入っています。

鉄とタンニンの反応
使ったのは、植物タンニン液と自作の鉄液。
鉄液は、錆びた鉄片を酢に漬けて作りました。意外と反応が進まず、2週間くらいたったと思います。
タンニン液には角を浸して、1か月半くらい様子を見て、液の汚染や、濃度の変化あればつぎ足したり、色々やります。

タンニンと鉄が出会うと、化学的に反応して黒く変化します。塗ったら。すぐに黒化が始まります。より黒くするには、厚塗りではなく、重ね塗りをしていくと表面が落ち着いた黒に変わります。色味は乾燥とともに深まり、光の当たり方で黒褐色にも見えてかっこいいんだなー。
塗る前の写真を撮るのを忘れていた・・・
乾燥と仕上げ
乾燥は自然乾燥とし、特別な加熱は行っていません。
風通しのよい場所に吊り下げ、数日かけて水分を抜きます。
乾燥後は、木炭のような黒さと軽い艶が出ます。
人工塗装ではないため、触感にざらつきが残りますが、磨き上げて手触りを良くします。
ちょっとオイル塗ってもいいですね。鹿脂使うぞ!
で完成したのがこちら。

右の角と左の角で、違うものつくりました。こちらは単純に鉄焙煎。なんかゴジラみたい。
ただ匂いは結構するので、屋外に1か月くらい置いたり、重曹水で拭いたりしました。今は匂いしません。
角袋の利用
もう一本の方は鉄焙煎してるんですが、ちょっと変わった処理をしました。
角を包んでいる角袋は、柔らかい袋状の組織です。別の工程で処理しレザーにしています。詳細は公開していませんが、わかる人にはわかると思います。
これが、いろいろやった角ですね。同じく自然素材のみで仕上げています。雰囲気いいですよね。
おんなじ処理、加工しているの見たことないです。

販売
あんまり見たことがないものなので、いくらにしたらよいかわからなかったのでほしい人に値段を決めてもらい、一つ購入してもらいました。
ほかにも時期による角の構造を理解知れば、いろいろとできます。
こうした「素材の旬」を見極めながら、自然の反応を活かした仕上げを続けています。以上



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