鹿革を鞣すと、思っていた以上にいろいろな残渣が出る。
毛、皮の端、肉や脂、そして使い終えたタンニン液。
最初の頃は、どう扱っていいのかわからず、近くのごみ処理場にもっていったり、狩猟の駆除個体処理場へ持って行ったりしていました。
最近はSDGsとか色々環境についての考えが普及してきましたけど、単純に何かに生かせないかなという気持ちから、残渣を「できるだけ使い切る」方法を試行錯誤しながらやっています。
・・・だれか他にやってる人ないかな~。ぜひ連絡ください。
残渣の種類と扱い方
鞣しの工程で出る残渣は、大きく2つに分けられる。
一つ目は裏漉きという肉削ぎの工程で出る、皮の端や、肉片の固形物。この固形物には、脂、毛も含まれています。
二つ目は使い切った後のタンニン液やすすぎ水。
1体の動物で考えるなら、剥ぎ取りの他にも内蔵、骨などありますが革なめしに限って今回は書いていきます。
固形物の処理
肉片や皮の端は堆肥に混ぜています。
毛や皮の端はそのままだと分解が遅いので、なるべく細かく切ります。肉や脂がついた部分は乾かしてから入れると虫が湧きにくくなります。落ち葉や草、鶏糞、台所のくずと一緒に積んでおくと、微生物がゆっくりと分解してくれます。
夏場なら1か月ほどで形が崩れ、秋には土とほとんど見分けがつかなくなります。
このたい肥は畑にまかず、植栽をメインに撒いています。うちの畑は無肥料、無農薬でとりあえずやっているので、あまりそとから何かを持ち込まず、そこのものだけで野菜を育てています。
ただこれは別にこだわりとかじゃなく、今の時点ではやっていたらどうなるか知りたいからやっています。パートナーはどうかわかりませんが、、私自身はもう畑が安定してきていると思っているので無肥料、無農薬のこだわりはありません。そもそも、無肥料、無農薬の意味ってなんなのか。
まぁこれは別記事にでも。
冬場のたい肥場は革鞣しも凍ってしまうので休止しています。生ごみがメインのコンポストは冬場もつかっています。春になると分解されていきますしね。
革から削いだ脂について
鹿は取れた時期にもよるのですが、脂を煮だして抽出して鹿脂として皮なめしに使っています。
こんな感じで煮だして

抽出するとこんな感じ。藍染めの時と同じ鍋で煮だしたのでちょっと青みがかかって綺麗になりました。

毛について
毛皮にすれば出ないのですが、今はレザーをメインにやっていますので、かなり膨大な量の毛が出ます。最初はごみ焼却施設に持って行っていたのですが、なんか使えないかなーと思っていて、今年日干し煉瓦にしてみました。

穴を掘って、粘土質の土を採取して、それに脱毛工程で出る石灰液と、毛を1:1:1くらいで混ぜるとレンガっぽい何かができたのです。ただこれは要研究ですね。もともと日干し煉瓦は雨の少ない地域で発達した技術なので、雨が多いと形がくずれたりしてます。改良や、用途を絞って使っていこうと思います。
液体の再利用
タンニン液の再利用
鞣しに使う浸け終わった液は、そのままでは渋すぎて使えません。基本的には次に鞣す用の、薄い溶液として保管しておきます。いよいよもって、あまり鞣せなくなってきたと感じると水で薄めて、錆びた鉄などを混ぜ鉄焙煎液を作り庭の果樹や、植栽にまきます。
一度に撒かず、数週間ごとに撒いておくと良いらしいです。基本的には酸性なので、ブルーベリーとかにまくことが多いのですが、ブルーベリーはあんまり調子が良くない。ラズベリーは嫌になるほど元気なのですが、、
また、畑以外の果樹や植栽には私たちが生活する上で出るたい肥等をあげています。鶏糞、鞣しの残渣たい肥、コンポストたい肥などなど。
すすぎ水や、各工程の排水について
肉削ぎするときに高圧洗浄機や、皮の洗浄等革鞣しにはとにかく水を使います。なめし工場の立つところは水が綺麗なところを選ぶ。なんてのがあるように。
私の場合はバイオジオフィルターで水をろ過して、排水はどこにも出していません。また、基本的にあまり水を使わないようにしていますし、今は年間10枚くらいしか鞣していないのでなんとかなっている感じかな。
バイオジオフィルターに排水は行き、最終部の池で自然蒸発したり、雨が多い時は増えたりしています。不思議とあふれたことはありません。むしろ、夏場は水が減ってしまうので足したりもしていました。
詳しくは以下の記事を

今は秋なのですが、その池でメダカを飼育していまして子供も生まれてました。それを食べにカエルが来ていたので水はきれいなのでしょう。
真ん中らへんのがメダカのあかちゃん

動物に感謝を。それで良いのか?
狩猟や鞣しをしていると、「もうこれは捨てるしかない」と思う時があります。
けれど少し目を凝らすと、まだ使える道が見えてきます。 残渣は面倒で、処理にも時間がかかります。 でも、手をかけることで素材のことをもっとよく理解できるようになります。ただ、正直に言うと、ここまでやっても完璧にすべてを使い切ることは難しいです。有害駆除では、駆除頭数すべてをレザーや毛皮にしているわけではないし、処理場に持っていく個体の方が多い。数は多くなれば、1頭にかける時間を捻出するのも難しくなる。
動物の命をできるだけ無駄にしたくないという気持ちもありますが、感謝の気持ちとかが全てではありません。どれだけ感謝しても、鹿や熊へは届きません。殺しているんですから。
なので、これらの鞣しは自分自身の在り方、だと思って作業しています。
できることをできるだけやる。
そして、それらの作業で出たものが庭に還り、そこからまた命が育つ。暮らしの中に小さな輪がひとつずつできていくのがわかります。遠くに広げるのではなく、自分の手で静かに輪を閉じていく。
そんな感じ。以上
なめすのは鹿、熊、たまに小動物。レザー、毛皮(毛鉤用、敷物)など↓やってます。





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