ヒナの誕生、いのちが生まれる時に運命は決まる?
去年の6月に人工孵化した時のお話である。ひよこが生まれる時、ヒナが卵の殻を一周つついてそこから自分で殻を破って誕生する。ところが、殻の奥からピーピー鳴いている声が聞こえてくるのに、でてこれていないヒナが一羽いるではないか。自然に1日半待ってみるものでてこない。手を差し伸べるべきか私たちは悩んだ。なぜなら、生まれることができない場合、それには意味があるかもしれないから。自然界であったらそのまま自然淘汰しているだろう。野生の鳥の世界では、生きていくことが難しい弱いヒナの場合、親鳥がヒナを巣から落とすという話がある。悩んだ末、夫が卵の殻を割ってヒナを出すことにした。このヒナはペローシスという病気を抱えていた。以下このヒナをちび助と呼ぶ。


写真:卵の殻を割ってヒナが生まれた時の様子
ペローシスとは、生まれつき足が開脚しており、将来まっすぐ立つことが困難になる病気。生後0日目からテーピングを開始した。以前ペローシスのヒナを育てた経験があり、テーピングが遅れるほどその足は元に戻らないことをよく知っていたから。テーピングを毎日交換して正しい足の形に矯正する日々が始まった。ちび助はテーピングが心地悪く歩きにくいのか「ピーピー」と朝から晩まで鳴いている。かわいそうでテーピングをはずしたくなるが私達は心を鬼にしてそ続けた。これを続けることでもしかしたら通常通り歩けるようになるかもしれないという可能性があったから。逆に上手くいかなかった場合、ちび助の一生はどうなる??と考えると可能性が1%でもあるならやり続けるには意味があると考えた。

写真:テーピングしている時のヒヨコ時代 足の指は正常通りに近づいてきた
ペローシスという病気と闘う日々
ハンディキャップを持っていると動物の世界では同じ日に生まれた仲間であってもいじめられてしまうことがある。この子も生まれた日から他のヒヨコ達に頭を突かれたり、餌や水もいつも残り物を食べる肩身の狭い日々を送った。隔離することも考えたができれば群れの中で育ってほしいと考えた、、、少しずつ体は大きくなり、足も矯正されていき、本来の形に近づいていった。

写真:外の環境に慣れさせるために外で日中過ごしている。足指のテーピングをはずして足の根本だけのテーピングへ。土の上をしっかり歩けている。

写真:中ヒナ時代の様子。群れの中でしっかり一緒に行動している。
群れの中では今でも体は小さく、控えめな性格の雄鶏さん。しかし、他の子に負けない生きる力がある強い立派な雄鶏だと思っている。いつだったか、キツネに襲われたときもちび助は小さな場所に身を潜めて生き延びたラッキーな幸運の持ち主。ペローシスという病気を持っている場合、他にも合併症を抱えていたりと長く生きられない子が多いんだよと以前、獣医さんから聞いてたが、もう少しで1歳になろうといしている。今では他のにわとりさんにいじめられることなく、群れの中でたくましく生きている。もしニワトリを育てている人がいて、ペローシスという病気に出会ったら、まずはそれにいち早く気づいてあげてほしい。そのヒナの生きることを選択するのなら、すぐにテーピングを始めてほしい。そのヒナの人生が左右されるから。ペローシスという生まれながらの病気は変えられないけど、人生が変えられるかもしれないということをちび助を通して学んだ。
:現在のちび助の様子。立派にコケッコーと鳴いている
にわとりと暮らしていると考えされることがいっぱいあるなぁ~。
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